学生へ向けてコンディショニングセミナーをしました。テーマは「女性アスリート特有の健康問題」「女性と月経」です
【内容】
・女性アスリートはほぼ「エネルギー不足」
・低EA(利用可能エネルギー)の防止
・女性と月経
・月経周期の対策
●女性アスリートはほぼ「エネルギー不足」
・FAT(Female Athlete Triad:女性アスリートの三主徴)
・RED-s(相対的なエネルギー不足)
をご存知でしょうか?
これらの問題はいずれも「アスリートの食(栄養)に対する無知」によって生じます。
本来ならばスポーツ栄養の専門家にお話をお聞きしたいところですが、それ以前にまず「知って」「自分ごととして認識する」こと、最低限の知識でもトレーナーとして「食べる大切さ」を伝える努力はしたいし、できる。一般的な知識ではありますが、繰り返し話題に触れる機会は増やしていきたいと考えています。
FATの話をするにあたって、食(エネルギー)の知識は欠かせません。FATに限らず、アスリートにとって「食べること」はコンディショニングの基本ルールです。しかしながら、運動で使ったエネルギーに対して、食べる量が相対的に少ない傾向であることが言われています。このような状態が続くと、身体の様々な機能に影響が出てきます。この相対的なエネルギー不足のことをRED-sいいます
このRED-sが引き起こす問題のうち、生殖器、そして骨への影響によって「無月経」「骨粗鬆症(疲労骨折)」が女性は特に起こりやすい障害として、このFATが問題視されています。
●低EA(利用可能エネルギー)の防止
「食べる」ということは大前提のもと具体的な予防の指標が出ていたので紹介しました
①BMI(体格指数)が18.5以上であること。これを下回る場合は、今よりも1日300~600kcal増やす必要がある
②糖質の摂取量を増やす。月経が正常の人と無月経の人との差は「糖質(炭水化物)の摂取量の差」でした。食事で量を食べることができないならば補食で補う、食べる回数を増やす(1日4~5回)など工夫が必要となるでしょう。
③空腹での練習は避ける、運動後に速やかに摂取する
●女性と月経
月経が起こるということは体内にエネルギーが貯蔵されている証拠です。アスリートにとって月経があることは自身のコンディション、エネルギー状態を知る指標だということを伝えました。前述のエネルギー不足とつながる(RED-s)ので繰り返しにはなりましたが、非常に大切なことです。
また、月経周期は4つのフェーズに別れていて、それぞれの時期で分泌されるホルモンの影響によって気分や体調に変化が現れます。月経前候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)など身体の症状、心の症状をうまく対応できず悩む選手は多くいます。これらも婦人科を受診することで診断がつくこと、適切な治療が受けられることを「知っておく」ことで行動する一助になればと思います。
●月経周期の対策
①月経周期、体調、体重を記録し、自分のコンディション傾向を自分で知るセルフコンディションチェック
②月経痛がひどい時、鎮痛剤が効かない時には婦人科を受診する
③低用量ピルによる治療(コンディショニングの1つとして)
まとめ
コンディショニングの内容は多岐にわたります。選手たちは高いパフォーマンスを目指している、その目標への道を乗り越えるためには自分の身体が健康であってこそです。女性は女性である以上、男性との身体の違いとしっかり向き合いつつ、長く競技を、楽しく、自分らしく続けるために、ある程度知っておくべきことがある。その情報をきちんと届け、自己管理ができる選手になって欲しいと思います。