「爆発的に動く」という動作は、様々なスポーツ動作で見られます。
”素速く動き出す”
どんな動きのイメージが真っ先に思い浮かぶでしょうか?
トレーニング指導の場面では
・走る
・ジャンプする
・物体を素速く放り出す(投げる)
・方向転換する
・・・などが「爆発的な動作」として取り上げられます。
【”爆発的に動く”動作を分析してみる】
①ニュートン第一法則:慣性の法則
②ニュートン第二法則:運動方程式
③ニュートン第三法則:作用・反作用の法則
①ニュートン第一法則:慣性の法則
物理はあまり得意ではありませんが・・・これは理解できました(笑)
「外から力が加わらない限り
質点(物体)はその運動状態を維持する。
また力を加えられていない質点は等速直線運動を行う」
ニュートンの第一法則:慣性の法則
②ニュートン第二の法則:運動方程式
質点(物体)の運動(運動量)の時間による変化
・・・つまり物体の「加速度」は、
それに働く力の大きさに比例し、力方向に作用する。
F=ma。
ここら辺から「ん?」となってしまいますが
物体を「速く」動かそうとすると、その分だけ沢山の力が必要だよ、
そしてその力は物が動いている方向に働いてるよ、
ということです。
力の大きさだけでなく、
力が働く方向も伴います。
ニュートンの第二法則:運動方程式
③ニュートン第三の法則:作用・反作用の法則
物体に力を加えるとそれと同じ大きさで、
向きが逆な力、反作用の力をうける。
これらの力は大きさが等しく、方向は逆である。
ニュートン第三の法則:作用・反作用
スターティングブロックを使ってスタートする”直前”の動作をイメージすると
走り出す直前の時間は0(ゼロ)、その時の速度も0(ゼロ)で静止した状態なので
運動は止まっています(慣性の法則)。
0(ゼロ)の状態から地面に力を加える(作用)とこの作用・反作用の法則から
地面に加えた力と
反対方向へ同じ力が返ってきます(反作用)。
これを
「地面反力」と呼び、拮抗は崩されて、物体は移動。
つまりスタートすることができるのです。
それから、速度が加算され、加速度が加わることで移動速度に変化が生じます。
運動方程式により、加速度と体に加えられた力は比例関係にあるため
「速く動く」ためには力強く地面を押し(作用)、地面反力(反作用)を大きくすることが、加速度を増すための重要な要素になります。
しかしながら、加速度が増すほど、体にかかる慣性力は大きくなる。
そういう力に、自分のフォーム(動作コントロール)が崩されないように
パフォーマンスを上げるには、より強い体を作る必要があるのかな、と思います。
科学的な根拠をもって、考えるならば
ジュニア期の選手の中に、大人顔負けのプレーをする選手は多くいますが、
身体の中身はまだまだ成長過程の中で剛性(強さ)に欠ける部分があります。
負荷や強度をかけ間違えると(やりすぎると)
自分のパフォーマンスを自分でコントロール出来なくなって
結果的に”ケガをしてしまう”選手を多く見てきました。
上手い下手関わらず、ジュニア期の選手育成は、個人差に配慮が必要なところが、この時期の指導の難しさだと感じます。
【まとめ】
「素早く動け!」
「高くジャンプ!」
「切り返し、ステップを切って!」とか
現場でコーチが投げかける言葉を聞いて、
選手はアドバイスをできるだけ実行しようと、考え、動こうとします。
出来ない時には、何か、こういう観点で動作を見てみると
単に「速く動け」という言葉から、
より具体的なポイントが見つかるかもしれません。
力強く地面を押して(作用)、地面反力(反作用)を大きくすることは
加速度を増すための重要な要素になります。
【編集後記】
物理は、苦手です。
でも、物理なんです、トレーニングは・・・
結局、トレーニング効果を出すには、
エビデンス(根拠)を踏まえたほうが、わかりやすいのです。
でも、過去に大学の先生から聞いた言葉があります。
現場が先で、研究は後付け。
そう、エビデンスは現場で起こる事の裏付けを取る作業。
これを知識として活用しつつ、シンプルに現場へ提案していきます。