#5 「爆発的に動く」為には力と加速度、そして力が働く方向が作用する。

「爆発的に動く」という動作は、様々なスポーツ動作で見られます。   ”素速く動き出す”   どんな動きのイメージが真っ先に思い浮かぶでしょうか?   トレーニング指導の場面では ・走る ・ジャンプする ・物体を素速く放り出す(投げる) ・方向転換する ・・・などが「爆発的な動作」として取り上げられます。  

【”爆発的に動く”動作を分析してみる】

  ①ニュートン第一法則:慣性の法則 ②ニュートン第二法則:運動方程式 ③ニュートン第三法則:作用・反作用の法則     ①ニュートン第一法則:慣性の法則 物理はあまり得意ではありませんが・・・これは理解できました(笑) 「外から力が加わらない限り 質点(物体)はその運動状態を維持する。 また力を加えられていない質点は等速直線運動を行う」 ニュートンの第一法則:慣性の法則   ②ニュートン第二の法則:運動方程式   質点(物体)の運動(運動量)の時間による変化 ・・・つまり物体の「加速度」は、 それに働く力の大きさに比例し、力方向に作用する。F=ma。     ここら辺から「ん?」となってしまいますが   物体を「速く」動かそうとすると、その分だけ沢山の力が必要だよ、 そしてその力は物が動いている方向に働いてるよ、 ということです。   力の大きさだけでなく、力が働く方向も伴います。 ニュートンの第二法則:運動方程式     ③ニュートン第三の法則:作用・反作用の法則   物体に力を加えるとそれと同じ大きさで、 向きが逆な力、反作用の力をうける。 これらの力は大きさが等しく、方向は逆である。 ニュートン第三の法則:作用・反作用   スターティングブロックを使ってスタートする”直前”の動作をイメージすると 走り出す直前の時間は0(ゼロ)、その時の速度も0(ゼロ)で静止した状態なので 運動は止まっています(慣性の法則)。   0(ゼロ)の状態から地面に力を加える(作用)とこの作用・反作用の法則から 地面に加えた力と反対方向へ同じ力が返ってきます(反作用)。   これを「地面反力」と呼び、拮抗は崩されて、物体は移動。 つまりスタートすることができるのです。 それから、速度が加算され、加速度が加わることで移動速度に変化が生じます。   運動方程式により、加速度と体に加えられた力は比例関係にあるため 「速く動く」ためには力強く地面を押し(作用)、地面反力(反作用)を大きくすることが、加速度を増すための重要な要素になります。   しかしながら、加速度が増すほど、体にかかる慣性力は大きくなる。 そういう力に、自分のフォーム(動作コントロール)が崩されないように   パフォーマンスを上げるには、より強い体を作る必要があるのかな、と思います。   科学的な根拠をもって、考えるならば   ジュニア期の選手の中に、大人顔負けのプレーをする選手は多くいますが、 身体の中身はまだまだ成長過程の中で剛性(強さ)に欠ける部分があります。   負荷や強度をかけ間違えると(やりすぎると)   自分のパフォーマンスを自分でコントロール出来なくなって 結果的に”ケガをしてしまう”選手を多く見てきました。     上手い下手関わらず、ジュニア期の選手育成は、個人差に配慮が必要なところが、この時期の指導の難しさだと感じます。    

【まとめ】

「素早く動け!」 「高くジャンプ!」 「切り返し、ステップを切って!」とか   現場でコーチが投げかける言葉を聞いて、 選手はアドバイスをできるだけ実行しようと、考え、動こうとします。   出来ない時には、何か、こういう観点で動作を見てみると 単に「速く動け」という言葉から、   より具体的なポイントが見つかるかもしれません。   力強く地面を押して(作用)、地面反力(反作用)を大きくすることは 加速度を増すための重要な要素になります。  

【編集後記】

物理は、苦手です。 でも、物理なんです、トレーニングは・・・   結局、トレーニング効果を出すには、 エビデンス(根拠)を踏まえたほうが、わかりやすいのです。   でも、過去に大学の先生から聞いた言葉があります。   現場が先で、研究は後付け。   そう、エビデンスは現場で起こる事の裏付けを取る作業。   これを知識として活用しつつ、シンプルに現場へ提案していきます。