●足部の働きとパフォーマンスについて
足は精密機器。バレーボール選手にとって足部(足首より下)の働きは競技力に大きく影響を与える要素の一つです。
目を閉じて片足立ちをしてみてください。30秒程度でも維持するのは意外と難しいのではないでしょうか。視覚情報(目で見ているもの)が無くなると足裏の神経や筋肉からの情報を頼りに姿勢をコントロールしようとしますが、この際に、足指を動かす神経や筋肉がうまく働いてくれるかどうかが重要なポイントとなります。
また私達は「地面反力」(地面からはね返ってくる力)を利用して動作を行っています。これは地面を蹴る力と同じ大きさの力が逆向きに戻ってくるという、物理法則(ニュートンの作用・反作用の法則)の一つです。例えばジャンプする時は床を下に押し、左に動きたい時は右側に力を加えることで動きたい方向に身体が移動します。この力を効率良く使えれば、より高く跳んだり、より素早く動いたりすることが可能になります。
体を動かす主な力は大きな筋肉から生まれますが、床にしっかり力を伝えることで得る力(地面反力)を出来る限り減らすことなく自分を動かす力に変える最初の関門として足部は極めて重要な役割を果たしています。足部の働きが低下していると力がうまく伝わらず、エネルギーが無駄になってしまいます。これは自分の持っている筋力を十分に活かせないことになります。
さらにその力(地面反力)が体の一部に集中したり、スムーズに通り過ぎなかったりすると、その部分に必要以上の負担がかかって、疲労を蓄積させ怪我へと繋がるのです。
●足部を動かしてみる
足部の状態を評価する基本的な指標として、以下の5点が挙げられます:
・母趾球(親指の付け根)
・小趾球(小指の付け根)
・踵による三点支持が自然に出来ている
・立っている時に足の指が全て地面に接地している(指の腹が付いている)
・足趾バラバラに動かす運動が可能である
人間は元々長い進化の過程で地面の感覚を感じながら、バランスよく動けるように裸足(裸足に近い状態)で生活してきました。しかし現代では道が整備され、靴を履くようになり、足が本来持っていた能力を十分に使えなくなってしまいました。
その上サイズの合わない窮屈な靴や、底が厚すぎて地面の感覚を感じにくい靴を履くと、足から脳への重要な情報が正確に伝わりにくくなり、身体を適切な位置や姿勢を保てないまま動き続ける事はパフォーマンスにマイナスで怪我のリスクも高めることは想像できるのではないでしょうか。
※次回は具体的な改善エクササイズとシューズ選びの目安についてお伝えします。(後編へ続く)